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複合菌発酵生産物質N21とは・・・
複合菌発酵生産物質N21のデータ



長岡 功 教授
順天堂医学部 卒業
順天堂大学院 医学研究科 博士課程 修了
医学博士

主な研究***
生体内殺菌ペプチド(デフェンシン・cathelicidin)の作用と遺伝子発現
生体内殺菌ペプチドの感染症、敗血症への臨床応用
健康食品の細胞機能、血液速度(血液のサラサラ度)におよぼす影響
発表内容要訳 発表内容(スライド)
「N21の抗炎症効果について」

乳酸菌食品

従来の研究からN21にはストレス解消に効果があり、免疫応答を安定化するとか、抗炎症作用が期待されています。
 そこで、今回は抗炎症作用に着目し、動物実験において検討してみました。N21は広い意味で乳酸菌製品ですが、乳酸菌食品には、従来、便通の改善、感染防御、免疫調節作用、腸内細菌のバランスが良くなる、発ガンリスクの低減などが効果として期待されています。
ところで、乳酸菌食品には3種類あります。「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」「バイオジェニクス」です。よく耳にするプロバイオティクスは、ビフィズス菌のような生きた乳酸菌を直接摂取して、生きたまま腸で働くことを期待する食品です。プレバイオティクスは直接菌を使いませんが、腸内の善玉コレステロールの増殖を促進させ、結果的に腸内環境を良くしようというものです。オリゴ糖などが該当します。オリゴ糖はビフィズス菌のエサなので、ビフィズス菌を増やします。
バイオジェニクスは免疫強化物質などを含む生理活性物質で、腸内細菌に働きかけます。実は、今日話題になっているN21がこれです。バイオジェニクスには生きた菌は含まれていません。ですから、生きたまま腸に届くのかという生菌の問題はありません。成分が腸に届けば、善玉菌増殖作用があり、菌体成分が含まれているので免疫力を活性化することが期待されています。
N21は乳酸菌、酢酸菌など複合微生物を培養した際の菌体成分を含むもので、バイオジェニクスです。血液流動性の改善、悪玉コレステロールや中性脂肪値を下げ、リンパ球に作用して免疫を安定化させるのではないかというデータが出ています。
そこで今回の研究ではN21に免疫機能の増加、あるいは抗炎症作用があるのではないかと想定し、動物実験を行いました。


サイトカインネットワークに及ぼすN21の効果
 今回は、N21がサイトカインネットワークに関連するようなサイトカインに、どのように働いているかに着目して、N21の効果を検討することにしました。目的は、N21の能力を評価して健康に役立てることです。特にN21の白血球による免疫機能を明らかにするための基礎的研究を行いました。
 そのため、マウスにN21を3週間、経口投与して末梢血の白血球の免疫機能を調べるために、サイトカインを測定しました。TNF-α、IL(インターロイキン)-6、 -10、 -12、 -4、インターフェロン-γを調べました。TNFαは腫瘍壊死因子として発見され、単に腫瘍を殺すだけでなく、今では炎症など免疫に働くことがわかっています。
5匹ずつのマウスを用いて実験しましたが、N21と水道水群で体重の変化はほとんどありませんでした。1日当たりの飲水量も、押しなべて同じぐらいでした。サイトカインの量ですが、炎症性サイトカインTNF-αは、3匹が十分産生しているのに対し、N21群では抑制的に働いていることがわかりました。一方、IL-6は、あまり差はありませんでした。
 IL-12はある程度産生されましたが、水道水群のほうが多く、N21群では抑制傾向が見られました。IL-10も、水道水に対して、N21のほうが低いことがわかりました。インターフェロン-γとIL-4の場合インターフェロン-γはあまり差がなく、IL4では水道水群は産生しましたが、N21群ではほとんど産生されませんでした。
 

まとめ
 まとめとして、複合菌発酵産生物質N21の白血球の免疫機能に及ぼす作用を、実験動物を使って生体内(in vivo)で検討しました。N21を3週間経口投与した場合、水道水のグループに比べると、末梢血中のTNF-α、IL-14、-12、-10が低下していることがわかりました。一方、IL-6やインターフェロン-γでは水道水群とN21群でほとんど差がありませんでした。
 ナイーブTh細胞、IL-12で刺激されるとTh1細胞に活性化され、一方、IL-4で刺激されるとTh2細胞に活性化され、それぞれ細胞性免疫、液性免疫が活性化されます。
このバランスが壊れてTh1が活性化されすぎると、自己免疫疾患になってしまいます。あるいは、炎症反応が憎悪してしまいます。一方、Th2が活性化されすぎると、アレルギー反応、アトピー症状が出てきます。ですから、病気にならないためには、このバランスを保持することが重要です。今回のマウスを用いた実験で、Th1側のIL-12、TNF-αの産生が抑えられるのがわかりました。また、Th2側のIL-4、-10も抑制されました。さらに、インターフェロン-γ、IL-6にはあまり影響がないことがわかりました。
おそらくN21は、Th1とTh2をともに抑制してバランスを保ち、その結果、抗炎症効果を発揮しているのではないかと考えられます。N21を含む『健調薬』によって床的に抗炎症効果が期待され、また体験されているので、そのメカニズムのひとつになるのではないかと考えています。
今後、人の臨床例を検討して病態とサイトカインの変動との関連を明らかにしていかなければいけないと考えています。



















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