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複合菌発酵生産物質N21とは・・・
複合菌発酵生産物質N21のデータ

 鈴木 和人 先生
発表内容要訳 発表内容(スライド)
 このN21を作る複合微生物群の基礎的な特性をいくつかご紹介します。
 この乳酸菌群全体の一般的な健康効果から話します。6個あります。便通改善作用、感染症の防御作用、免疫調節作用、腸内フローラのバランス改善、腸内環境改善、発ガンリスクの低減です。
乳酸菌の効果の示し方ですが、たとえば、生きたまま腸に到達した場合は、乳酸菌が出す有機酸が有害菌の増殖を抑制したり、腸内腐敗を防止したり、腸内菌叢の正常化につながります。一方、菌の生死に関係なく腸内で有害物質を吸着したり、免疫機能を高めます。
N21を作り出す複合菌核がどこにいてどんな可能性があるのか。可能性は複合菌の基本的な性状を調べるなかで出てきました。複合菌の中に新しい能力を持った微生物を発見して活用することで、私たちの健康生活に役立てることが最終目的です。
2つのグラフがあります。左がN21を作り出す菌核の時系列でのPHの変化と、生成される酸のパーセンテージの変化を表したものです。右のグラフは、市販されている一般的な「ケフィアカルチャー」といわれている乳酸菌酵母との複合体です。同一条件下のバイオグラフです。
今回、N21を生成する微生物群の最大の特徴は、8時間を境に急激にPH、酸度が変化することです。8から24時間までの間に、マックスのPH値と酸の生成を示します。酸生成が短時間で行われるのも特徴です。「ケフィアカルチャー」は飼い慣らされていて、安定して酸生成を続けます。
これを裏付けるデータがあります。これは菌数の変化です。酸ができる8時間まで、複合菌体はほとんど増えません。準備中だと思われます。8時間から24時間までの間に急激に増え、酸が生成されます。「ケフィアカルチャー」は徐々に上がってきています。ただし、こちらが10?でこちらは10?、1オーダーの差があります。こちらは菌数が10分の1だけ小さいですが、「ケフィアカルチャー」と同等の酸を生成する菌核になります。つまり、少ない菌体量だが酸生成能力が10倍の「ケフィアカルチャー」と遜色ない能力を持っているのがポイントです。
菌核の構成を調べるために、菌種の同定試験をしました。96%がグラム陽性でガス発生能力がある。しかも、ヘテロの発酵形式を有することがわかりました。この結果から、菌核の秘めた可能性も含めてまとめてみました。
ガス発生試験では、通常、試験管のなかにガスを捕集する小さな器を入れて発生能力を調べます。この複合菌核の中の菌体は、通常、小さな器にガスが溜まるのと異なり、一見、ガスが溜まっていないように見えました。ホモ発酵かなと思ったところ、ちょっと触ったその振動でバイオ液全体から、まるでシャンパンのようにガスが上がってきました。これも特徴です。 
通常、培養菌液は茶色の培地であり遠心分離方法で回収した菌体は白色ですが、この菌核を回収すると茶色でした。培養液、上澄み液までも色が落ちていました。菌体に茶色が付着しているのです。通常ありえないです。培地の成分までも回収したのです。
3番目は高い酸生成能力があることです。PHが低下していても生菌数は上昇します。強い耐酸能力の可能性があります。胃酸の低いPHに耐えそのまま腸管に達成する可能性が高いと思われます。
以上、3つの特徴を捉えると、菌体の細胞壁に特徴があるのではないか。酸に強い、菌体の細胞壁に吸着させやすい、ガスを容易に放出させないなど、表面に特徴がある可能性が高いです。表面構造が有害物質を吸着させ、菌体表面の一部が乳業界でいわれているラクトヘリンのように小さな低分子の物質で有害微生物の増殖を防止したり、免疫機能を高める細胞壁の部分があるのではないかと感じています。
菌体を電子顕微鏡で捕らえると2つの乳酸の棹菌が連なってものが多く、いろいろな部位で接合しています。さらに、拡大率を10倍アップすると、菌体表面がつぶつぶ、ぼこぼこ、靄がかかっているなどが見られます。細胞壁のこの部分の構造でどんな状態であり何を含んでいるのかは今後の課題です。ただし、この表面の物質が培地の可能性もあります。
4番目の特徴ですが、食品中の乳酸棹菌はホモ発酵がほとんどです。しかし、この菌はアルコールとしていますが、酢酸、有機酸、炭酸ガスなどでのヘテロ発酵なので未知の有機酸かもしれませんが、有害菌の増殖が抑制されるとも考えられます。長岡先生からも、乳酸菌の増殖の話がありましたが、仲間たちの生成を支える有機酸もありえると思います。最初のグラフのように、8時間までは自分たちが生き残る環境づくりのために有機酸を作り、ある程度できたら一気に増えていく可能性もあります。
出だしのところで、菌株を見つける必要があります。今後、DNAの解析で菌種の同定をするのが最優先です。もちろん新種の菌株もありえます。問題は細胞壁が硬く、きれいなDNAが取れないことです。大腸菌、ウエルシュ菌に対する増殖抑制の見当もつけたいです。また、影響する物質が何かも検索したいです。 
私たちは体内に摂取しますが、24時間でヨーグルト状になるので新タイプの摂取しやすいヨーグルトなどの食品開発も行っていきたいと思います。
以上、未知なるところも含めて魅力的な菌核であることを報告いたしました。






















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